「経年劣化です」と言われた——
諦める前に読んでほしい話
火災保険を申請したら、保険会社から「経年劣化ですね」と言われた。
——この一言で、諦めてしまう人がものすごく多いんです。
でも、ちょっと待ってください。
その判定、本当に正しいですか?
私たちは年間700棟以上の住宅を調査していますが、正直に言うと、「経年劣化」と言われたケースの中に、実は災害被害だったものが結構あるんです。
この記事では、「経年劣化」と判定されるパターンと、それでも申請が通る可能性があるケースについて、現場の経験をもとにお話しします。
そもそも「経年劣化」って何?
まず、言葉の意味を整理しておきましょう。
経年劣化というのは、簡単に言うと「時間が経って自然に傷んだ状態」のこと。
雨風にさらされたり、紫外線を浴び続けたり、毎日の温度変化でじわじわダメージが蓄積していく。
これは、どんな家にも起こることです。
で、火災保険の基本ルールとして——
🔑 ここがポイント
火災保険は「予測できない突発的な事故」に対する補償。
経年劣化は「予測できる自然な劣化」なので、補償の対象外なんです。
ここまでは、保険会社の言ってることは正しい。
問題は、「その判断が本当に正確かどうか」なんです。
経年劣化と災害被害、どう見分ける?
正直に言います。
経年劣化か災害被害かの判断は、プロでも難しいことがある。
たとえば、屋根の棟板金が浮いていたとします。
保険会社の鑑定人は「釘が錆びて浮いたんでしょう。経年劣化ですね」と言うかもしれない。
でも、私たちが見ると「いや、これは2年前の台風で浮いた可能性がある」と判断できることがあるんです。
見分けるポイントは「損傷のパターン」
| チェック項目 | 災害被害の可能性 | 経年劣化の可能性 |
|---|---|---|
| 損傷の位置 | 風上側・特定の方角に集中 | 全体的にまんべんなく |
| 損傷の形状 | 割れ・飛散・めくれ | 色褪せ・サビ・苔 |
| 周囲の状況 | 近隣でも同様の被害あり | 自宅だけの症状 |
| 発生時期 | 台風・大雪の後から | いつからか不明 |
| 損傷の程度 | 急に大きくなった | 徐々に進行 |
参考:損害保険料率算出機構の風災認定基準をもとに作成
⚠️ ここが落とし穴
築年数が古いと、保険会社は「経年劣化」と判断しがち。
でも、古い家でも災害被害は起きます。
「築20年だから無理」と決めつけるのは早いんです。
一度却下されたのに、再申請で通った話
これは、実際にあった話です。
「経年劣化」で却下→再申請で112万円
この方、最初は別のサポート業者に依頼して申請したんです。
結果は「経年劣化」で却下。
「やっぱり無理か」と諦めかけていたところ、知人の紹介でうちに相談がありました。
改めて調査してみると、前回見落とされていた外壁のクラックを発見。
しかも、損傷の方向が「南西向き」に集中してる。
これ、2018年の台風21号の風向きと一致するんです。
撮影角度を変えて、損傷パターンを明確にした報告書を作成。
気象庁のデータも添えて再申請したところ——
1回目の申請
却下
→ 再申請後
112万円
「一度ダメだったから諦めてたのに、まさか100万超えるとは。
ちゃんと見てくれる人に頼むって大事なんですね」
——名古屋市 K様(40代)
なぜ、最初の申請は却下されたのか。
理由は単純で、報告書の作り方が甘かったんです。
「ここが壊れてます」という写真だけでは、保険会社は納得しない。
「この損傷は、○年○月の台風による風災と考えられる。理由は①②③」
——こういう因果関係の証明が必要なんです。
「築32年だから経年劣化」→調査で台風被害を証明
正直、築32年という数字を聞いた時、私も「厳しいかもしれない」と思いました。
でも、屋根に上がってみたら——
棟板金の釘が、特定の方向だけ抜けてる。
これ、風の力で引き抜かれた典型的なパターンなんです。
経年劣化なら、全体的にまんべんなく釘が浮くはず。
一方向だけ集中して抜けてるのは、明らかに「風災」の特徴。
この点を写真と図解で説明した報告書を提出したところ——
当初の見立て
厳しいかも…
→ 結果
76万円
「古い家だから絶対ダメだと思ってた。
調査してもらわなかったら、一生気づかないままだったと思います」
——福岡市南区 S様(70代ご夫婦)
💡 この事例から言えること
「経年劣化」という判定は、絶対的なものじゃない。
調査の仕方、報告書の書き方、添付する証拠によって、結果が変わることがある。
一度却下されても、諦めるのは早いんです。
「経年劣化」と言われた時の対処法
「経年劣化です」と言われて、そのまま引き下がる必要はありません。
できることは、まだあります。
- 1
まず、判定理由を書面でもらう
電話で「経年劣化です」と言われただけで終わってませんか?
必ず書面で、具体的な却下理由を確認してください。
「どの部分が」「なぜ」経年劣化と判断されたのか。これがないと、反論のしようがありません。 - 2
気象データを確認する
被害が起きた時期に、台風や大雪がなかったか。
気象庁の過去データで確認できます。
「○年○月に最大瞬間風速○m/sの台風が通過」という記録があれば、有力な証拠になります。 - 3
損傷のパターンを再確認する
損傷が「特定の方向に集中している」「割れ・飛散がある」なら、災害被害の可能性が高い。
逆に「全体的に色褪せている」「サビが広がっている」なら、経年劣化の可能性が高い。
自分で判断できない場合は、専門家に見てもらうのが確実です。 - 4
再申請を検討する
却下されても、再申請は何度でもできます。
ただし、同じ書類を出しても結果は変わりません。
新しい証拠、別の角度からの写真、より詳細な報告書——何かを変える必要があります。 - 5
専門家に相談する
自分で再申請するのが難しければ、火災保険申請のプロに相談するのも手です。
報告書の書き方一つで、結果が変わることがあります。
私たちも、再申請のサポートを行っています。
❓ 火災保険申請でよくある質問
「再申請は何度でもできる?」「サポート会社の手数料相場は?」「築年数が古いと無理?」——火災保険申請に関する30の質問にプロが本音で回答しています。
よくある質問30選を見る →申請前にやっておくべきこと
「経年劣化」と言われないために、最初の申請で気をつけるべきことがあります。
- 被害に気づいたら、すぐに写真を撮る(日付入りで複数枚)
- 被害の方向・範囲を記録する(北側だけ、など)
- 近隣の被害状況も確認する(同じ被害があれば災害の証拠に)
- 気象データを調べておく(台風・大雪の日付と風速)
- 修理前に申請する(直してしまうと証拠がなくなる)
- 工務店の見積書だけで済ませない(因果関係を説明する報告書が必要)
⚠️ やってはいけないこと
被害を大げさに申告するのは絶対にNG。
虚偽申告は詐欺罪に問われる可能性があります。
正直に、でも「見落としなく」申告することが大事です。
よくある質問
一度「経年劣化」で却下されたら、もう申請できない?
いいえ、再申請は可能です。ただし、同じ書類では結果は変わりません。新しい証拠や、より詳細な報告書を用意する必要があります。
築年数が古いと、やっぱり無理?
築年数だけで判断されるわけではありません。築30年でも、災害被害であれば補償対象です。大事なのは「損傷の原因が何か」です。
自分で「災害被害」と「経年劣化」を見分けられる?
正直、難しいことが多いです。損傷の方向や形状から判断しますが、専門知識が必要。迷ったら、プロに見てもらうことをおすすめします。
再申請で認められたら、追加で費用がかかる?
私たちは完全成功報酬制なので、保険金が認められなければ費用は一切かかりません。再申請でも同じです。
この記事のまとめ
- 「経年劣化」の判定は絶対ではない。災害被害が見落とされているケースがある
- 損傷が「特定の方向に集中」「割れ・飛散」なら、災害被害の可能性あり
- 築年数が古くても、災害被害であれば補償対象になる
- 一度却下されても、再申請で認められることがある
- 報告書の書き方・証拠の出し方で、結果が変わることがある
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